金物塾

金属加工技術 曲げ加工について「代表的な3種類の曲げ加工」

(株)サヌキ様より寄稿

 

曲げ加工の特徴について

 曲げ加工には『パーシャルベンディング』 『ボトミング』 『コイニング』の代表的な3種類の曲げ加工の特徴を簡単に紹介します。

パーシャルベンディング

 パーシャルベンディングの「パーシャル」には「部分的な」という意味で図1に示すように、A・B・Cの3点でワークが金型と接触して曲げを行うことで、「部分的な」とはこのことを指します。
 一般的にこのパーシャルベンディングのことをエアーベンディングと言われ、図1で分かるように、A・B・Cの3点部分以外は空中に浮いている状態で曲げているからです。
 この曲げ加工の特徴は曲げ角度の範囲を自由にとれることです。
例えば、角度30°の金型を使用して曲げることの出来る範囲は180°~30°までの
任意の角度、すなわち直角曲げを含めた 鈍角曲げから鋭角曲げまでの角度です。
これが一品一様の製品に対して便利な曲げであると言われる理由です。
 汎用性に優れたパーシャルベンディングですが、曲げ角度の精度があまり良くなく、ワークの板厚・硬度等によって左右されます。

ボトミング

 ボトミングの「ボトム」は、動詞形で「底をつける」という意味で、一般的にこのボトミングのことを底押しとか底突きと言われる曲げです。
 大きな加圧力を必要とせずに良い曲げ精度が得られるので、最も多く使われています。(図2参照)

コイニング

 コイニングの語源は「コイン」で「硬貨を作る」とか「金属を硬貨にする」から由来してて、極めて正確な曲げ精度が得られる加工方法です。
 コイニングの目的は、極めて正確な曲げ精度と極端に小さい曲げRを得る為の技術ですが、ボトミングの所要トン数の約5~8倍の加圧力を必要とし、一般的にはあまり使われてません。(図3参照)

(Memo)
曲げ加工の特徴について代表的な曲げ3種類を紹介致しましたが 一般板金加工では前記のパーシャルベンディングとこのボトミングの 2つを組み合わせての加工が多く用いられています。